セミナー「自治体と自然エネルギー100%を考える」

皆様こんにちは、京都事務所インターン生の塚本です。

先日発足した、自然エネルギー100%プラッットフォームを契機として、2018年2月19日(月)京エコロジーセンターにて、セミナー「自治体と自然エネルギー100%を考える」を開催しました。

講師には自然エネルギー拡充における先進事例である宝塚市地域エネルギー課長の古南様及び、気候ネットワーク主任研究員の豊田さんをお招きしました。

セミナーの流れ

  • 開催時間:13時〜16時
  • 主催者より挨拶
  • レクチャー1:講師 豊田陽介氏 →質疑応答1
  • レクチャー2:講師 古南恵司氏 →質疑応答2
  • レクチャー3:塚本悠平 →質疑応答3
  • ワーク1
  • ワーク2
  • 講評

 

レクチャー内容

(筆者撮影)

 

レクチャー1では、豊田さんより自然エネルギーについての基本説明、自然エネルギー拡充における国内外の動向及び地球温暖化防止に向けた市民の取り組みなどについて、講義していただきました。

質疑応答では、参加者の一人より質問を頂きました。質問内容としては、「市内にて自然エネルギーを導入していくにあたって、地元にある企業と協働することについてどうお考えでしょうか?」といったものがありました。それに対して講師からは、「企業を巻き込むことは良いことです。ただ継続的なものにしていくためには地域貢献だけでなく、企業にも自然エネルギー事業を行うにあたって長期的にどのようなメリットが生まれるのかといった具体案を示す必要がある」との回答を頂きました。

レクチャー2では、古南さんより宝塚市の基本概要、宝塚市の宝塚エネルギー2050ビジョン及び市民との協働について、お話し頂きました。

質疑応答では、参加者の一人より質問を頂きました。レクチャー2の中で宝塚市西地区における市民が主体となって進んでいる自然エネルギー事業における報告があったことを受けて、「西地区のエネルギー事業はどういう経緯で進んだのでしょうか?」といった質問を頂きました。それに対して講師からは、「FIT制度という政策的支援による後押しがあったことは間違いないですが、特に言えるのは地元の方々が元々エネルギー問題に関心があったことに加え、自然エネルギー事業に必要となる土地を市民が提供してくれるといった環境が大きかった」との回答を頂きました。

レクチャー3では、司会の塚本よりユースと自然エネルギーとの関係性及び、自然エネルギー100%プラットフォームの詳細について発表しました。

質疑応答では、講師の古南さんからも質問を頂きました。質問内容としては、「自然エネルギ−100%プラットフォームにて100%宣言するにあたって、達成方法はどれくらい具体的でないといけないのでしょうか?」といったものでした。それに対して講師の豊田さんより、「方法をあまり固めすぎる必要はなく、ある程度示しておけば良く、宝塚市であればエネルギー2050ビジョンがそれにあたります」といった回答を頂きました。

グループワーク

(筆者撮影)

 

3つのレクチャーが終わった後に、2つのグループワークを行いました。1つ目のテーマを「ユースが自然エネルギーについて考える意義」とし、ブレインストーミング→グループ内共有→全体共有と言う形でワークを進めました。様々な意見が出た中で、全体に共有してくださった意見としては、キーワードが2つありました。一つが「世代間衡平性」で、若い世代が将来的に気候変動の影響を受けることは明らかであり、自ら考えて行動しなければならない。また、将来世代への責任が、将来を担う現代世代にはある。などの意見が出ました。二つ目のキーワードは、「ユースへの社会的な期待」が挙げられました。若者は、社会の既存の枠組みに捉われずに自由な発想とともに行動を起こすことができる、といった意見を頂きました。

 

2つ目のグループワークは、「あなたならどうアクションを起こしていく?」といったテーマの下に行われました。流れは一つ目のグループワークと同じでした。全体に共有してくださったアイディアとして挙げられたものとしては、「柔軟な考えを持つ世代に対する環境教育」及び、「高い環境意識を持ち、それを実行に写している企業を就職活動の際に意識的に選ぶ」などがありました。

 

講評

二人の講師の方々より、それぞれセミナーを通しての講評を頂きました。古南さんより、「行政職員は、昔は仕事のみしていれば良いといった風潮が間違いなくありました。しかし昨今では、仕事の他に関心のあることに活動し、業務以外でのネットワーキングができる人が増えてきていることを実感しています。今日は、仕事を通じてと言う形ではあるが、様々な人と繋がりたいと言う想いを持って講義をしにきました。自然エネルギーに関心の高い皆様に宝塚市の取り組みについて知っていただき、また皆様が持ってらっしゃる様々な意見を聞くことができ、嬉しく思います。」との講評を頂きました。

豊田さんからは、「再エネのコストが高いと言う概念はもう古くて、むしろ安くなってきていることを広く知ってもらいたい。また、ユース参画に関しても、実際に自然エネルギーについて知り、またそれがもたらすメリットを体感してもらいたい。将来的に、自然エネルギーとはどんな仕事にも、生活にもつながってくるということも知っておいて欲しい」といった講評を頂きました。

所感

参加者の方々は、普段より様々な形で温暖化問題に関わっておられたことから、主催者側としても勉強となる意見や質問が多く出ました。自然エネルギーに関心が高い方が参加してくださったということもありますが、生活の中でエシカル消費を意識しながら消費行動を取っている方や、電力会社の切り替えを既に検討している方がいらっしゃるなど、市民の間に自然エネルギーの重要性のみならず環境意識の向上を感じざるをえませんでした。

また懇親会では、参加者の方々と講師の方々との活発な交流が行われ、予定していた時間よりも1時間も延びてしまいました。参加者の方から、講師の方に再エネ事業の依頼があったり、市民参画における課題などについての議論で大いに盛り上がりました。

(筆者撮影)

 

本セミナーを足がかりとして、今後も自然エネルギー100%といううねりをより大きくしていくべく、「第二回〇〇と自然エネルギー100%を考える」企画を考えています。それと同時に、より多くの方々に自然エネルギー100%というムーブメントに参画していただけるよう、活動して参ります。

本セミナー開催にあたって、ご多忙の中いらしてくださった講師の方々、並びに会場を貸してくださった京エコロジーセンター様に、深く感謝申し上げます。

(文責:塚本悠平)

この記事を書いた人

気候ネットワーク
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気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。