2026年2月6日から22日に、イタリア北部の都市ミラノとコルティナで第25回オリンピック冬季競技大会が開催されます。
ウィンタースポーツの祭典を楽しみにしている方も多いことでしょう。私は寒がりで雪山でのスポーツより温泉に浸かっていたい派ですが、そんな私でも気になっているのが雪の降り方です。日本列島には今季最強の寒波が襲来し、日本海側では記録的な大雪に見舞われています。ところが、世界で温暖化が進む中、十分な降雪がないために冬季オリンピックを開催できる場所が減少するとの懸念が高まっているのです。
冬季五輪で人工雪が初めて使われたのは1980年のアメリカ・レークプラシッド大会だそうです。2022年の北京大会では雪がないと報道されていたのを記憶していますが、ほぼ完全に人工雪頼みの開催となっていました。1956年に今回の開催地コルティナでオリンピックが開かれた時には、イタリア国内から雪を運びこんで人工雪を使いませんでしたが、今大会では約240万m3の人工雪を使用する予定となっています。1968年の開催地であるフランスのグルノーブルでは、温暖化により冬が短くなり、降雪の代わりに降雨が多くなった上、雪が以前より早く溶けるようになっていることで、2030年にフランスアルプスでの開催地を検討する際の候補地にはならないだろうと言われています。
国際オリンピック委員会(IOC)も、気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の時に、世界の温室効果ガス(GHG)排出シナリオによっては冬季オリンピックの将来の開催候補地やウィンタースポーツの地理的分布に大きな影響が出ることは避けられないとの懸念を表明しています。この中でオリンピック委員会が参照している研究報告「Climate change and the climate reliability of hosts in the second century of the Winter Olympic Games(仮:過去二世紀の冬季オリンピック開催地における気候変動と気候信頼性)」によれば、排出量が削減される、あるいは安定すれば冬季オリンピックを過去に開催した地域(欧州、北米、アジアの各地域)で、少なくとも2050年代までは引き続き開催が可能だとしています。しかし逆から見れば、排出量が増加し続けば過去の開催地では冬季オリンピックができないということです。高排出シナリオでは、温暖化により2080年代までに大半の地域での開催は不可能になると予測しています。
別の研究でも同様の結果が示されています。冬季オリンピックへの気候変動の影響を取り上げたAP通信の記事が引用している研究では、現在冬季オリンピックを開催できる93カ所は、温暖化により2050年には52カ所に減少すると示しています。アクセスや既存施設の有無などで絞りこむと、実際の候補地はさらに少なくなることでしょう。このAP通信の記事には、冬季オリンピックの過去の開催地の気温が1896年と比べて何度上昇したかと合わせて、2050年に冬季オリンピックを開催できる可能性の評価が示されています。全体で見ると、過去の開催都市での夜間平均最低気温は1896年以降、少なくとも1.2℃上昇しており、2050年代までには過去の開催都市の約3分の1では、オリンピック開催に必要な降雪量と温度条件が維持できなくなると見越しています。例えば、日本の札幌(気温上昇2.52℃)と長野(同1.61℃)はともに「開催できる可能性が高い」となっていますが、カナダのバンクーバー(1.45℃)やノルウェーのオスロ―(2.02℃)は「開催できない可能性が高い」、フランスのグルノーブル(1.63℃)やロシアのソチ(1.94℃)は「開催はほぼ不可能」となっています。
2025年11月に公開されている「Ski Resilience Index(どの程度の降雪が見込めるかの追跡、日本からはニセコと富良野が含まれている)」によると、2023-2024年のシーズンは、調査対象となっているリゾートにおいて降雪量と期間に大きな変動があったことが示されています。
こうした研究や観測結果を見ると、本当に冬季オリンピックの開催が危ぶまれている気がします。もちろん夏は夏で暑すぎで開催できないという問題がありますが、冬の降雪はオリンピックだけでなくスキーリゾートなどで成り立っている地域経済にとっても問題です。
温暖化により冬季オリンピック、ウィンタースポーツの基盤が揺らいでいる…夏だけじゃないんだ温暖化。
何十年かしたら冬季オリンピックが全部室内になってしまうのでは?と怖いことを考えてしまいました。
2026年2月 大雪のニュースを聞きながら
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