皆さん、こんにちは。インターン生の武井七海です。
インターンを始めて2か月が経ちました。気候ネットワークの活動は沢山のスタッフとボランティアの方々に支えられていると日々実感しています。そんなスタッフやボランティアの方々で、月に1回”Kiko研究会”という気候変動に関する勉強会が開催されています(通称Kiko研)。
前回、前々回はスタッフの延藤さんがお話してくださったのですが、今回は私が発表しました!私は昨年末まで西アフリカのベナン共和国で1年強、有機農業の普及活動をしていました。なので、今回はベナンってどんな国?という話からベナンで感じた気候変動の脅威と不条理についてまで幅広く話しました。その発表内容をまとめたものをブログにも書きたいと思います。Kiko研に参加されていない方にも、アフリカにおける気候変動の影響を知っていただけると嬉しいです。
1, ベナンってどんな国?
皆さんはベナンと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
「ああマレーシアね!」-それはペナンです。
「ああベトナムね!」-それはダナンです。
と、こんな感じの反応を受けることが多いのですが、「ベナン」は西アフリカにある国の名前です。西アフリカの海に面した国で、トーゴ、ブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリアに囲まれた国です。
主要産業は農業で、田舎に住む多くの人が農業に従事しています。地図からもわかるように南北に縦長の国で、南部は高温多湿の熱帯雨林気候、北部はサバナ気候と言われています。私は南部の海岸沿いのこんな地域に住んでいました。ココナッツ、パイナップル、マンゴーが本当に美味しかったです。
2, ベナンで感じた気候変動の脅威
前述の通り、ベナンでは沢山の人が農業に従事しています。しかも、ほとんどの人が天水に頼る農業をしています。なので、気候の影響をもろに受けます。例えば、私がいた1年間の間にほとんど雨が降らない時期がありました。
いつもならこれから雨季が始まるというタイミングで、田植えをしました。しかし、田植え後、ほとんど雨が降りませんでした。そのため、稲は育たず、地面は割れてしまいました。そして、この農地の稲はすべて枯れてしまいました。
その次の月、今度は大雨に見舞われました。雨の降り始めはみんな喜んでいたのですが、例年とは異なる豪雨が例年よりも長く続きました。
その結果、いつも市場が開かれていた場所が浸水し、市場は1か月間開かれなくなりました。また、農地がすべて浸水して収穫ができなくなった野菜農家もいました。
さらに、いくつもの家が浸水しました。村全体が浸水して、村人全員が避難した村もありました。上の写真の左側の丸は普段の家で、右側の丸が簡易的に作った家です。屋根や壁は木の葉っぱ等でできており、雨風がしのげるとは思えませんでした。また、熱帯地域ではマラリアなどの蚊が媒介する感染症が流行っており、水たまりの近くに住むことで、それらの感染リスクが高まってしまいます。
3, ベナンで感じた不条理
農民の口癖は” à cause du changement climatique (気候変動のせいで)”でした。日本にいた時から気候変動の存在は知っていましたが、こんなに大きな影響を与えていると思ってもみませんでした。気候変動の主な原因は先進国や新興国にあるにも関わらず、その影響はベナンのような途上国の人々が被るという不条理を目の当たりにしました。実際、ベナンの温室効果ガス排出量は188か国中149位で、世界の0.03%しか排出していません。しかし、気候変動の脆弱性は181か国中27位で、気候変動による被害が大きいのです[1]。
環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんは大人世代の行動によって気候変動が進み、子供世代やその下の世代が気候変動に苦しんでいることを主張していると思います。私もその考えに共感します。一方で先進国の行動が気候変動を加速させ、途上国の人々がそのせいで苦しんでいることも忘れてはならない事実だと思います。
[1] Climate Change Profile Benin
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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