京都事務所の有木です。2月の3日および4日に大阪で開かれた「ONE WORLD FESTIVAL」に参加してきました。
インドネシアNGOが語る熱帯泥炭地と私たちの暮らし
2日目の午前中は「ウータン・森と生活を考える会」が主催する講演会「つながってる!インドネシアNGOが語る熱帯泥炭地と私たちの暮らし」に参加しました。インドネシアのNGOで活躍するヨヨさん(Yoyok Wibisonoさん)から、インドネシアの「熱帯泥炭湿地林」の破壊の問題について話を聞くことができました。
熱帯泥炭地の破壊が温暖化の原因になっている
1つ目のポイントは、インドネシアにおけるCO2排出の最大の原因が熱帯泥炭地の破壊によるものだということです。
泥炭とは、主に植物が不完全に分解して堆積した一種の有機質土壌のことであり、泥炭がある厚さ以上堆積している場所を泥炭地と言います。手付かずの泥炭地はCO2や水を吸収する役割を果たし、「炭素の貯蔵庫」とも呼ばれています。
しかし、近年原生林が伐採され、アブラヤシなどのプランテーションが進められてきたことで泥炭層の分解・酸化が進み、蓄えられたCO2が大気中に放出されているそうです。また、泥炭地で発生する火災も大きな問題となっています。プランテーションにより水分が失われたことで泥炭層の乾燥が進み、火災が発生しやすい状況になっているそうです。一度火災が発生すると消し止めるのは非常に困難であり、大量のCO2を放出してしまします。
熱帯泥炭地破壊の原因は我々の生活にある!
2つ目のポイントは熱帯泥炭地破壊の最大の原因であるアブラヤシなどのプランテーションは、日本にいる私達の生活と大きく関係しているという点です。
アブラヤシから取れるパーム油は私たちの身の回りにある食品や化粧品、洗剤などに大量に使用されています。ポテトチップス、マーガリンなどは、特に明記されていない限り、ほぼパーム油が使われています。日本の私たちがパーム油を使えば使うほど、インドネシアではプランテーションが進み、泥炭地破壊が進行すると考えられます。
企業の「倫理的な」活動に期待
「これらの事実を重く受け止め、私達の生活をもう一度見直すことが必要である」と、「ウータン・森と生活を考える会」の石崎雄一郎さんは訴えていました。油の使用量を減らす、パーム油ではなく国産の油を使う、パーム油を使う場合は認証マーク(RSPO)のついたものを購入する、などの対策が考えられるそうです。
パーム油を使って食品などを作っている各企業はこの問題をどの程度認識しているでしょうか。泥炭地破壊など地球規模の環境問題の解決のためには、大量生産を行う企業の協力が必要不可欠です。これらの企業が「倫理的な(エシカル)」企業活動を行い、問題解決に向けてムーブメントを起こすよう、訴えていきたいと感じました。
SDGsの達成にむけて
ヨヨさんは、長年にわたりインドネシアの熱帯林と泥炭地の復旧に尽力してきました。彼の発言で印象に残っているのは、プロジェクトを行う場合、環境の回復だけではなく地元に住む方々の生活についても同時に考える必要があるということです。
プランテーションは確かに大きな環境破壊をインドネシアにもたらしましたが、一方で現地の労働者の収益源となっているという側面もあります。SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標には「陸の豊かさを守る」、「気候変動への対策」のほか、「人や国の不平等をなくす」、「すべての人に健康と福祉を」といったものが含まれています。持続可能な社会を実現するためには、これらの要素を総合的に考えていく必要があることを痛感しました。
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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