こんにちは。7月27日より3週間、気候ネットワーク東京事務所にインターンシップ生としてお世話になりました山口と申します。

短い期間でしたが、シンポジウム・勉強会・記事作成・リサーチ・経産省分科会傍聴等、数々の経験をさせていただきました。 

世界中で◯万人が大気汚染の影響で死亡?

PM2・5による健康被害、温室効果ガスの大量排出による温暖化の可能性など、日本に暮らす我々にとって環境が汚染されていることに対する認識は実感ベースであまり感じられないのではないでしょうか。しかし世界では大気汚染に関する驚くべき被害がすでに報告されています。

ここで質問を一つ。皆さんは、大気汚染に起因して亡くなる人の数が世界で年間どれほどになるのかご存知ですか?

正解は…650万人

国際エネルギー機関(IEA)によると上記の内訳として、工場、発電所、自動車などから排出される窒素酸化物や硫黄酸化物、その他の有害な粒子状物質が原因で死亡する人は、世界全体でおよそ300万人ほど…。そしてこれとは別にアフリカなどの発展途上国においては、調理用燃料に薪を使う家庭が多く、室内汚染で年350万人が死亡しています。また、これに関連して 世界で最も多く窒素酸化物が放出されるイギリスでは1500万人に影響が及んでいます。専門家によるとロンドンの住民は大気汚染で平均余命を9年押し下げたと報告されているそうで、大気汚染によって毎年5万人が早死(premature death)しているそうです。

しかし一方で2040年までにクリーンエネルギー分野への投資を7%増加させれば、死者数を300万人以上減らすことが可能であるとIEAは述べています。

このレポートの概要については、石炭.jpに記事をアップしておりますのでこちらも是非ご確認ください。

IEAレポート、クリーンエネルギーと大気汚染対策の投資をしないと大気汚染は今後も悪化

一般的に、上記で述べた事実はあまり知られていません。そして日本にとっても、もはや対岸の火事ではありません。現在、日本では有害物質を多く排出する石炭火力発電の新増設の動きが盛んになっています。これはパリ協定で定められた共通目標に逆行するものです。これからの未来において、我々一人一人が現状を正しく認識し、環境に対する意識を高めていくことが必要です。

国レベルでの省エネ議論

現場ではどのような議論が進められているのか、といったことに関心があった私は経済産業省総合資源エネルギー調査会・省エネルギー小委員会第18回会合を傍聴する機会を設けていただきました。「省エネと経済成長は決してトレードオフの関係ではない。」「省エネの好循環の創出のためにはエネルギー管理の実態にあったスキームづくり、ステークホルダーに直接アプローチできるサードパーティへの働きかけを強めていくことが必要だ。」などの見解が示されました。今の日本の省エネ・エネルギーポリシーの実情を体感できたのは大きな収穫でありました。

 

勉強会・会議・シンポジウムに参加

先にも述べたように、私はこのインターンシップ期間で様々な経験を積むことができました。机上のリサーチでは見えてこなかったものが直接お話を伺って明らかになった、という点で「気候変動と戦うアジアの人々」をテーマにしたシンポジウムに参加し、海外の方のリアルな声を得ることができたのは非常に有意義でした。

またオフィスで開催された「民間銀行の投融資スキームに関する勉強会」では、 関連NGOの皆さんが一堂に会して民間銀行の支援スキームとしてのプロジェクトファイナンスの実態を、実際の海外発電事業を事例に学びました。多面的な意見を聞くことができたこと、また今まで知識として理解していたものを実例と照らし合わせることにより体系的な知識が獲得できたことはとても有意義でした。全体を通しNGOに籍を置いているからこそ得ることができる知識が多く非常に魅力的でした。

 

新たな見方の発見~環境・気候変動の問題意識~

もともと国際関係学を学んでいる私にとって、環境・気候変動は直接的な専門分野ではありませんでした。しかし、このインターンの業務に携ったことにより新たな問題意識を獲得し、多面的な考え方を身につけることができました。そしてそれは今後の学習・経験に幅をもたらすことができると確信しています。

NGOという団体がどのようにアプローチをしているのかを理解すること、またNGOに身をおいているからこそ触れることができる実際の知識は貴重な財産となります。ぜひ気候ネットワークでのインターンシップをおすすめします。

 

この記事を書いた人

気候ネットワーク
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気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。