※この記事は、2024年11月11日~24日にアゼルバイジャン共和国のバクーで開催されたCOP29の現地からの情報発信を、気候ネットワークブログ用に編集していただきました。
COP29の陰の主役はトランプ氏か、といった論調もみられるほど、アメリカの今後の動向は確かに気になるところではある。実際、COP29ではアメリカの今後はどのように捉えられていたのだろう?
EU代表、アメリカの影響について言及
「もちろん、COPには全ての国が協力することが大切だし、世界が直面している問題を鑑みれば、特に影響力のある国が交渉プロセスに残ることを期待している。しかしEUは経済成長とGHG削減の両立を果たしており、地政学的な「ノイズ」に振り回されることなく各種対策に取り組んでいく。」 18日のプレス向けイベントで、EU代表はアメリカの影響について尋ねた記者に向かって力強く述べた。
思えば今から24年前、ジョージ・W・ブッシュが2000年のアメリカ合衆国大統領選挙で民主党のアル・ゴアを破り、京都議定書からの離脱が確実視される中、当時オランダのハーグCOP6に出席中だった筆者は、会場を包む絶望的な空気を感じたものだった。
しかし今回、もちろんその動向を気にせざるを得ないのは確かだが、アメリカの離脱・そして復帰を経験した今、会場に「あの」絶望感はない。むしろ、山積する交渉をこなし、やり遂げるべきことをやり抜くことに精力を傾けている。いずれ起こるかもしれない事象に振り回されるより、いい意味でBusiness as usualを継続しよう、といったところだ。特に今回は「資金のCOP」と呼ばれただけに、途上国支援に向けた「ギリギリの折衝」が最優先事項といった印象を受けた。
具体的な国際交渉の場面でもアメリカ代表は健在だった。ある交渉ルームでは、アメリカ代表がCapacity Buildingの必要性について、途上国支援に積極的な文言を提案していたが、それだけにとどまらず、英語によるテキスト編集能力まで発揮していた(英語が母国語ではない代表団もいる中、この能力はファシリテーターサイドにも感謝されていたようだ)。
もちろん今回のCOP29には、例えば「決定された資金援助レベルが充分なのか」「トランプ政権に移行後、アメリカの気候資金はどれだけあてにできるのか」などの批判や懸念もある。だが、一方で、アメリカ「連邦」政府が「出たり入ったり」するかどうかとは別の次元の、大きな国際的な動きが確実に進行しているようにも思えた。
執筆:諏訪亜紀
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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