気候ネットワーク/CAN-Japanの伊与田です。いま、私はドイツのボンに来ています。国連気候変動ボン会議が6月4日から15日まで開催されており、これにオブザーバー(傍聴者)として参加しているためです。これまでのところでいくつか会議の様子をご紹介したいと思います。

温暖化対策の新枠組み:2015年合意に向けて

ボン会議のテーマのひとつは、2015年までに合意することになっている、2020年からのあたらしい温暖化対策の国際枠組みに合意するための交渉です。危険な気候変動を防ぐために求められる排出削減量と、現在各国が「やります」と言っている排出削減(予定)量には大きな開き(ギャップ)があります。このギャップを埋めるには、2015年までに新たな国際合意を実現させ、日本を含むすべての国が実効性ある温暖化対策を進める必要があります。

Bonn UN Climate Conference

ボン会議のようす (c)Masayoshi Iyoda

まだ会議は始まって2日たったところですので、ボン会議で実際にどんな成果がでてくるのか、現時点では何とも言えません。年々交渉は複雑化し、各国の利害関係が先鋭化していて大変ですが、温暖化はもっと大変なので、しっかりフォローしていきたいと思います。

交渉の様子については、ぜひぜひ、会議場通信Kikoをご覧ください。ボン会議のKikoは、こちらのボン会議特設ページに掲載しています。

北川環境副大臣とNGOの会談

昨日5日には、気候ネットワークなど日本の環境NGO11団体からなるネットワーク「Climate Action Network Japan(CAN-Japan)」として、ボン会議のハイレベルの閣僚級会合に参加されている北川環境副大臣と会談を行いました。会談の際には、CAN-Japanとしての要望書を北川副大臣と日本政府代表団に提出しました。その内容の詳細は次のリンクから、要望書本文をご覧いただければと思います。

要望書「2030年目標の早期検討開始のお願い」

ポイントは、2015年合意においても重要なポイントとなっている、2030年頃の国別目標案について、日本政府として早期の検討開始をお願いしたい、ということです。2030年の温暖化対策の目標に関連して、「国民が参加できるような議論の場を設けるよう検討する」との前向きなお答えもいただきました。お忙しい中、会談の機会をいただいたことを感謝申し上げたいと思います。

 会場のマリティムホテル前のアクション

6日朝、会議場であるマリティムホテルの前で、環境NGOがアクションを行っていました。こういった気候変動の国連会議では、NGOがパフォーマンス的なことをして、会議参加者にアピールしようというのはしばしばあることです。

Action

会議場のすぐそばで行われたアクション (c)Masayoshi Iyoda

「We Choose: Renewable Energy. People’s Power now! 」とあるのは、「私たちは選択する:今こそ、再生可能エネルギーと人々のチカラを!」などとなりましょうか(ここではPeopleを「人々」と仮に訳しましたが、リンカーン大統領のゲティスバーグ演説の、いわゆる「人民の人民による人民のための…」の"people(人民)"に近いニュアンスなんでしょうね)。昨年末のワルシャワ会議で交渉のあまりのひどさに、怒りのウォーク・アウト(抗議のため会議場から出て行くこと)をしたNGOが、世界の気候保護ムーブメントの高まりをアピールし、行動するよう強く求めるものということです。

このアクションの背景など、詳細はこちら

ボン会議報告会を開催します

なお、7月2日に東京で、このボン会議の様子や交渉の内容、今後の見通しなどについて報告するイベントを開催します(主催:CAN-Japan)。温暖化問題の最新動向や、気候変動交渉に関心をお持ちの方はぜひご参加ください。交渉の現場の雰囲気をお伝えできればと思います。

国連気候変動ボン会議報告会~2015年の国際合意に向けた日本の温暖化対策と新目標~

ではまた!

この記事を書いた人

気候ネットワーク
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気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。