はじめまして。2016年度8月から気候ネットワークの京都事務所でインターン活動をさせて頂いた侯暁と申します。短い間でしたが学ぶことが多く、とても有意義な参加となりました。
以下では、未熟ながらもインターンの活動中に学んだこと、感じたことを書いていきたいと思います。
気候ネットワークでインターンをして思ったこと
NGOスタッフの知識の深さに驚き
今回は大学の授業の一環として、気候ネットワークでインターンすることになりました。活動を始めてまず驚いたのが、スタッフの皆さんの気候変動問題に対する知識の深さでした。自分は普段ニュースや学校の授業でこれらのことに触れたことがあったが、それとは比べられない程、スタッフの皆さんは、深い知識を持っていました。それは、物事をありのまま単純に理解するのではなく、そのことの根本にある原因を多元的に、深く考えるものでした。
身近な気候問題と危機感
スタッフの方々が持っている深い知識への憧れとともに、一人の国民として、一人も選挙権を持つ若者として、身近な問題である気候への、知識の少なさに危機感を持ちました。知識の不足は自分の勉強不足も大きな原因ですが、社会的視点、教育的視点から見ると2つの原因が考えられます。
まず1つ目としてあげられるのは、ニュースを見るだけではくわしく理解することができないことが挙げられます。ニュースでは、COPパリ会議が開催された、G7伊勢志摩サミットが採択されたとしか報道されていないように感じます。その具体的な内容や課題については、ニュースを見るだけでは不十分だと考えられます。
2つ目には、学校における環境教育が不十分であることが上げられます。鶴見(2009)は、文部科学省では、1992年に発行されている「環境教育指導資料」で、環境や環境問題に主体的に参加し、環境への責任ある行為が取れる態度を育成する必要があるが、学校では学力低下論のもとで、学校教員への社会的精神的プレッシャーとなっている中で環境問題に対する時間が十分に確保できていないのが現状であると述べています。
私自身も学校では子どもたちに環境に対する知識を身に付けさせることだけではなく、環境に対する関心を育てる教育をすることが重要になってくると考えます。子供たちは学校での学びを通して環境に対して強い関心をいだき、それを元に、学校以外のところでも主体的に環境について学んでいくための原動力になっていく必要があると考えます。
そのためには、学校教員だけで教育を行うのではなく、学校の授業以外に外からの刺激も必要となります。つまり、地域やNPOの参加が求められます。そこで、気候ネットワークの活動の1つである環境教育がとても大切な役割をもつと考えられます。
気候ネットワークのこどもエコライフチャレンジ
温暖化防止教育プロジェクト「こどもエコライフチャレンジ」は、①環境について学ぶそして考える、②実践する、③最後に振り返るという順序で、子供たちが主体となって環境について学び、学校教育とは違った刺激を受けて環境に対してより深く考える機会となります。
こどもエコライフチャレンジを支えるボランティアの研修会
こどもエコライフチャレンジ事業は多くの地域のボランティアの協力があり、ボランティアを対象とした研修会が開かれています。今回は、2016年8月23日に京エコロジーセンターで行われました。多くの方が来てくださり、皆で地産地消で旬の食材を活かすなど環境配慮型のクッキングをしながら環境について学んでいきました。参加者の皆さんは、学ぶ意欲がとても強く、非常に刺激を受けました。今回の研修会では主に気候ネットワークのミッションと気候変動国際交渉の内容や問題点について皆で学びました。
気候ネットワークのミッションと温暖化防止条約についての講演
ボランティア研修会ではまず、スタッフの伊与田さんが気候ネットワークのミッションと温暖化防止条約について詳しく、そしてわかりやすく、教えて下さいました。
気候ネットワークのミッションは、人類の生存を脅かす気候変動を防ぐことです。実際、2005~2014年までの気候関連災害が1985~1994年までに比べ約2倍に増えるなど、気候災害のリスクは深刻化しています。また、異常気象によって農業がだめになると、農業や家畜を飼うことで生計を立てていた人が収入を得るために都市部に流入し、出稼ぎが増えるなどで人口が都心部に集中し、深刻な水不足を引き起こしやがては紛争・難民問題に繋がる危険があります。実際、シリアではこのような事態が起こってしまっているのが現状です。
また、持続可能な地球社会を作っていくことも重要です。これは、環境だけではなく、貧困問題や紛争、不平等な問題を解決することに繋がります。また今回の講演では、今まで採択された条約についても説明がありました、環境に関する条約で特に重要なのは、1997年の京都議定書です。今まで地球温暖化対策について、努力目標としか決められてなかったものが、京都議定書によってはじめて義務として温室効果ガスの排出削減が決められました。その後、2009年のコペンハーゲン会議では合意ができませんでしたが、2015年のCOP21パリ会議では、ついに法的拘束力のあるパリ協定を採択しました。
パリ協定は、工業化前からの地球平均温度上昇を2℃より十分下回る水準に抑える、つまり1.5℃未満を追求しています。この2℃未満にする目標は、現在確認されている化石燃料埋蔵量の大半は使えないことを意味します。また、今世紀後半まで(早ければ2050年頃)に世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることも意味します。しかし、現在の各国の目標や政策だけでは足りません。そこで、私たちは、1.5℃目標に向かって、永続的に対策を強化し続ける必要があります。2016年のG7伊勢志摩サミットでは、パリ協定の2016年中の発効に向かって努力すること、2025年までに世界規模で非効率な化石燃料補助金を撤廃するよう求めることが決まりました。
エコ・クッキングチャレンジ!カレーライス作り
研修会では、講演後、エコ・クッキングチャレンジとしてカレーを作りました。カレーは日本風と東南アジア風の合計3種類。カレーに入れた具材は、気候ネットワークのスタッフの方が地元で育て、採れた野菜を使いました。皆で3種類のカレーを食べ比べしながらおいしく頂きました。
気候ネットワーク・インターンの仕事
約2週間気候ネットワークの方でインターンとして活動させていただきました。はじめはわからないことも多く具体的なイメージもわかなかったのですが、スタッフの方々のサポートで、少しづつ慣れてきて、気候に関する知識も増えました。
仕事の内容は連絡先情報の入力・整理から寄付金封筒の作成まで幅広くお仕事を体験させていただきました。また、新しくきたインターンの方に仕事の説明をすることもありました。最初は緊張していましたが最後には楽しみながら責任感を持って活動することが出来ました。インターン期間はあっという間に終わってしまいましたが、多くの体験をすることができて、とても楽しかったです。
スタッフの皆さん、ボランティアの皆さんありがとうございました。
<引用文献>鶴見治彦『現代環境教育入門』2009年、東京 筑波書房
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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