こんにちは、東京事務所インターンの桑田です。

去る7月2日、日比谷図書文化館日比谷コンベンションホールにて、国連気候変動ボン会議報告会が開催されました(CAN-Japan主催)。地球環境問題アナリストの末吉竹二郎さんをお招きし、ボン会議に参加した国際NGOのメンバーによる会議の様子や交渉の内容、そして今後の日本の温暖化対策について報告・議論が行われました。

ボン会議に参加したNGOメンバーによる報告

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国際NGOのメンバーによる報告の様子

世界は2020年以降の新枠組みに向けて動いている

まず、報告においては、世界が工業化前に比べて地球の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという目標と、それに伴う2020年以降の新たな枠組みの合意に向けて精力的に動いているという指摘がありました。特に、今後の進展を占う意味でも重要な「2020年以降の国別目標案」の提示時期について、米中EUといった主要な国が明確にしてきているという点を強調していました。

目立つ日本の温暖化対策の遅れ

一方で、「日本の周回遅れが顕在化している」、「日本の温暖化対策に関してボン会議の参加者から厳しい意見が聞かれた」等と、日本の国際交渉での立場に対して危機感を募らせるNGOメンバーが多数。加えて、日本は国別目標案の提示時期を明確にしていません。目標案の提出が遅れるようなことがあれば、交渉への悪影響は深刻です。また、海外の石炭事業を支援する等、世界の脱石炭の流れに水を差すような行動を日本がとっていることについて、ボン会議で批判の声が聞かれたことも紹介されました。

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気候ネットワークのメンバーによる報告

「孤立無援」。

これは、日本の将来を考えるとつい思い浮かんでしまう言葉で、大学生の時に私の中国と韓国の友人が日本の今後について冗談気に言った言葉でもあります。この状態が現実化しつつあるのではないかと、NGOメンバーの報告を聞いて改めて思いました。

何か寂しい気持ちになりますが、この状況を踏まえて今後私たちがどう行動すべきか重要になってきます。

末吉さんの特別講演 "ビジネスの土台は「地球」”

国際NGOのメンバーの報告後、地球温暖化がもたらすビジネスチャンスとリスクについて末吉竹二郎さんより特別講演が行われました。「ビジネスは地球を土台としている、土台を壊してまで成長する意味はあるのか」。この末吉さんの言葉がこの国の企業の方の心に響いたことを願っています。

いえ、響いてもらわないと困るのです。

 ディスカッションで浮き彫りになった「国際社会と日本のギャップ」

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質疑応答の様子

そして最後に行われた質疑応答・ディスカッションにおいては、中国やアメリカの動向、日本の今後やるべきことに関して参加者から質問がありました。ここで改めて浮き彫りになったのは、国際社会との乖離とも見受けられる日本の国内の動向、他国と日本の気候変動に関する政策面の差です。この日本で事実に基づいた成熟した議論の必要性が強く感じられました。

サッカーのゲームでは、必ず勝者と敗者に分かれます。一方、気候変動は、「全員が勝者とならなければならないゲームであり、すべての人の問題」。この報告会において最後に発せられたメッセージの一つです。私たちもこの議論に前向きに参加しなければなりません。

 「大所高所」。この言葉を胸に。

ボン会議報告会のスピーカー

報告会のスピーカー

YouTubeで報告会の様子をご覧いただけます

実際の報告会をYoutubeで見ることができます 

国連気候変動ボン会議報告会のプログラム

  1. ボン会議参加NGOメンバーによる報告
  • 「地球温暖化の最新科学と、これまでの国際交渉」
    土田道代(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)) 資料(PDF)
  • 「ボン会議(ADP)の結果と今後の交渉の見通し」
    小西雅子(WWFジャパン)資料(PDF)
  • 「気候資金~”緑の気候基金”最新動向~」
    小野寺ゆうり(FoE Japan)資料(PDF)
  • 「2020年に向けた土地利用~森林減少・農業等~」
    山下加夏(CIジャパン)資料(PDF)
  • 「国際社会が求めている日本の温暖化対策」
    伊与田昌慶(気候ネットワーク/CAN-Japan)資料(PDF)
  1. 特別講演
  • 「世界から取り残される日本の温暖化対策、これでよいのか?~温暖化がもたらすビジネスチャンスとリスクを考える~」 
    末吉竹二郎さん(地球環境問題アナリスト)
  1. 質疑応答&ディスカッション

 *この催しは、平成26年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催されました。

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キャラクター「基金ちゃん」

この記事を書いた人

気候ネットワーク
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気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。