京都事務所インターン生の鈴木です。
前回に引き続き、COP20@リマの活動報告を行います。
今回は「気候変動をめぐる先進国と途上国の対立をどう考えるか」というテーマです。
合意形成の道のりは長い
COP20も2週目を迎え、交渉も折り返し地点を迎えました。
1週目の議論を経て、2週目の月曜日に共同議長から修正版のCOP20の合意文書案(Draft Decision)が提出されました。それに対して、各国がコメントをしていましたが、国によって主張は「千差万別」―「この合意案は片側の意見しか入っていない」「なぜ我々の主張が入っていないのか」「法的拘束力があるのか」「重要な要素が欠けている」等々、共同議長の頭を悩ませたに違いありません。
なぜなら修正前の合意案への各国の意見を一つの文書にまとめると、192ページにも達してしまうからです。
(COP20合意案への各国の主張http://unfccc.int/files/bodies/awg/application/pdf/compilation_of_inputs.pdf)
この膨大な意見をもとにまとめられたのが新しい決定書草案ですが、それに対しても喧々諤々の議論が続いています。
「先進国VS途上国」
2020年以降の国際的な枠組みの合意をめざす交渉のボトルネックとなっているのは「先進国と途上国の先鋭的な対立」であると言えるでしょう。気候変動交渉において先進国と途上国の対立は、今に始まったことではないですが、COP20においても合意形成の障壁になっていることは否めません。
気候変動には「(温室効果ガスの)排出削減」「適応」「技術移転」「能力構築」「透明性の確保」「資金」など様々な論点があります。
先進国側は、「途上国にも排出削減に前向きに取り組んでもらいたい」、「資金などでこれ以上負担をしたくない」、途上国側は、「自分たちは先進国が遂げたような経済発展の権利がある」、「これまで多くの温室効果ガスを排出してきた先進国が気候変動の責任をとるべき」という考えがあります。
対立をどのように乗り越えるのか?
途上国と先進国の対立は一筋縄で解決できないことは明らかです。この対立を緩和させ、協調を進めることがCOP20の成功には不可欠です。
9日(火)にアフリカのNGOが会場の広場でプラカードを掲げ、パフォーマンスをしていました。彼らは、先進国と途上国が対立を深め、交渉が前に進まないことに怒りを表明していました。
特に、アフリカは気候変動に対し脆弱で、一度、干ばつや洪水の被害を受けると、貧困や感染症問題がより深刻化してしまいます。しかし、それを対策する能力や資金が圧倒的に足りていません。
「もう時間はない。リマで前に進めよう。どうか貧困国の声を聴いてくれ。アフリカの声を聴いてくれ。我々が気候変動に最も脆弱で、最も影響を受ける国なのだから。リマがラスト・チャンスだ。」
同NGOの代表が聴衆の前で、悲痛に叫んでいました。
「歩み寄り」が鍵
COP20にインターンとして参加し、いくつかの会議を傍聴して感じたことは、「妥協」や「歩み寄り」が必要であるということです。先進国や途上国でそれぞれが各々の主張をし続けても、なかなか合意に辿りつけません。すべての国が、気候変動問題をどうにかして解決しなければいけないという目的は共有しているはずなので、それを達成するためにもどこかで妥協することが求められます。
まずは、先進国が歩み寄りをみせ、排出削減を野心的に掲げる、途上国への資金援助を強化するなどが重要です。また、排出量が多い中国やインドも気候変動に対して責任のある国として振る舞うことが必要なのではないかと感じました。
本日の会議でもADPの共同議長が、「私たち(共同議長)が合意内容を決めるのでない、あなたたち締約国が決めることだ」と言っていたように、国際交渉のテーブル上のすべての締約国が、どのようにすれば合意形成にたどり着くのか、どうすれば気候変動問題が解決に向かうのかをより真剣に考え、誠意ある行動をとることが求められると言えるでしょう。
そして我々市民も、気候変動問題をどこか遠い場所で起きている事と思わず、自分事として捉え、行動していくことが必要なのではないでしょうか。
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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